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大阪地方裁判所 昭和49年(行ウ)63号 判決

原告 春次政明 ほか一名

被告 東税務署長

代理人 辻井治

主文

原告らの請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告らの負担とする。

事  実〈省略〉

理由

一  課税の経過

請求の原因(一)の事実は、原告らの確定申告の日付の点を除き、当事者間に争いがなく、<証拠略>によると、原告らの昭和四四年分所得税の確定申告は昭和四五年三月一六日に行われたものと認められ、この認定に反する<証拠略>は採用しないし、ほかにこの認定に反する証拠はない。

二  原告らの所得と所得控除

原告政明の昭和四四年分の事業所得金額、所得控除額、源泉徴収税額が被告の主張(一)、別表(二)(1)〈1〉〈7〉〈10〉のとおりであること、原告光子の所得控除額が被告の主張(一)、別表(二)(2)〈5〉のとおりであることは当事者間に争いがない。

三  原告政明の譲渡所得

(一)  原告政明が別表(三)(1)のとおり昭和四四年中にその所有の本郷の土地を譲渡したことは、当事者間に争いがない。

原告政明は右譲渡による所得に対する課税に誤りがあると主張しているから、以下これを順次判断する。

(二)  措置法(編注・租税特別措置法)三八条の六の適用について

(1)  手続的要件

措置法三八条の六の規定によると、同条の適用を受けるためには、確定申告書にその適用を受けようとする旨その他の同条四項所定の事項を記載することが原則的に必要とされており、例外的に、税務署長がやむをえない事情があると認める場合には、それに代わる書類の提出をもつて代えることができるとされている。

原告政明は、自己の本件係争年分の所得税確定申告書に右の記載がないことは認めたうえ、右の例外的場合にあてはまる旨主張するので、この点について検討する。

(ア) 原告政明は、原告光子が昭和四五年三月一三日原告らの昭和四四年分所得税確定申告のため南税務署におもむいた際、同税務署の署長が原告らの口頭の申請に対し、口頭で春次ビル完成の日までを取得期間とする見積承認、取得期間延長承認をしたと主張し、<証拠略>の結果中にはこれに副う供述部分がある。

しかし、この供述部分は、<証拠略>と対比して採用できないばかりか、次の諸点を考えたとき、この供述部分だけから、直ちに、原告政明の主張事実を認めることはできないし、ほかにこのことが認められる証拠はない。

〈1〉 見積承認の申請は、租税特別措置法施行規則(昭和四四年大蔵省令第二六号による改正前のもの。以下措置法施行規則という)一八条の四第一項の規定により、申請書によつてしなければならないのであつて、<証拠略>からも明らかなように、実務上、税務署備付けの承認申請書用紙が用いられている。

したがつて、南税務署長が、そのような実務の取扱いを無視して、納税者の口頭による申請に対し承認を与えたとすることは困難である。

〈2〉 見積承認処分自体も、<証拠略>からも明らかなように、実務上所定の様式によつて書面でなされるのが通例であり、本件に限つて口頭でされたことは考えられない。そのうえ、そのような例外的取扱いをする客観的必要性があつた事情が認められない。

〈3〉 現に、南税務署長は、原告光子に対しては右に述べたような形式を履んだうえで承認を与えている(<証拠略>)のであつて、それと同時にされたと主張する原告政明については、そのような書面がないのである。

(イ) 原告政明は、昭和四七年三月三一日付で南税務署長に対して提出した嘆願書(<証拠略>)をもつて、措置法三八条の六第四項但書所定の書類であり、同署長はこれを受けてやむをえない事情があると認めたうえ、口頭で春次ビル完成の日までを取得期間とする見積承認、取得期間延長承認をしたと主張し、<証拠略>の結果中にはこれに副う各供述部分がある。

しかし、前記と同様、これらの承認をするための所定の書類が作成されていないことからして、右各供述部分だけから直ちに、同署長が口頭の承認をしたとすることは無理である。そのほかに原告政明が主張する事実を認めることができる証拠はない。

また同署長が、同原告が提出した嘆願書によつてやむをえない事情を認定したことが認められる確証がない。

(ウ) したがつて、原告政明は措置法三八条の六の適用に必要な手続を履まなかつたことに帰着するから、同条の規定の適用があるとする同原告の主張は、この点で採用できない。

(2)  実体的要件(譲渡資産の事業供用資産性)

措置法三八条の六の適用を受けるためには、譲渡資産が事業の用に供されているものでなければならないが、この事業には、事業と称するにいたらない不動産又は船舶の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行なうものも含まれる(同条一項、同法施行令二五条の六第一項)。

原告政明は、その譲渡資産である本郷の土地の半分を訴外田中鉄次郎に、残りの半分を訴外岸江広造に、それぞれ賃貸し、もつて自己の事業の用に供していたと主張するので、この点について検討する。

(ア) まず、田中鉄次郎に賃貸していたという点であるが、これについては、原告政明の主張自体、賃料は「相当な量の農作物又は現金」との定めであつたという、具体性に乏しいものであるうえ、契約を証する書面、賃料の授受があつたことを証する書面、農地賃貸借解約の許可書その他右契約の存在を証する書証が提出されていない。

この点に関する<証拠略>は曖眛であつて採用できないし、ほかにこの事実が認められる証拠はない。

(イ) 次に、岸江広造に賃貸していたという点について検討する。

<証拠略>中には、原告政明の主張に副う供述部分がある。すなわち、岸江広造は、自己が経営する大阪市内の公衆浴場を建て替えるに際して、取り壊した建物の廃材を置く場所として、原告政明が病院の建築をするまでの間に限り、昭和四一年暮ころから約二年間、本郷の土地の入口部分の約半分を借りて、賃料二〇万円を支払つたというのである。

しかし、<証拠略>によると、原告政明が本郷の土地を買い受ける契約をしたのは昭和四二年七月一日、その代金を完済して所有権移転登記を受けたのは同年一〇月七日であることが認められる。そうすると、岸江広造が昭和四一年暮ころから本郷の土地を同原告から借り受けたとするのは、時期的に矛盾している。

そのうえ、証人岸江広造の証言中、岸江広造が昭和四一年ころ大阪市内で自己の浴場を経営していたとの供述部分は、<証拠略>と対比して到底採用できない。すなわち、岸江広造が自ら経営していたという公衆浴場「つぼ花温泉」を所有して経営していたのは、訴外越前重吉であつて、岸江広造ではない。

(ウ) 仮に原告政明が本郷の土地を一時使用の目的で岸江広造に貸し付けたことがあつたとしても、この貸付が同原告の事業としてされたものであるとか、その貸付の対価が相当であるとか、貸付が継続的に行われたとするわけにはいかない。その理由は次のとおりである。

<証拠略>によると、原告政明が昭和四二年に本郷の土地を取得した際に支払つた代金は一、三二四万六、〇〇〇円であつたこと、原告政明は本郷の土地を病院建設用地とする目的で取得したものであつて他に賃貸して利益を得る目的で取得したものではなかつたこと、したがつて原告政明は本郷の土地を他に使用を許すとしても、病院建設に着手するまでの一時のつもりであつたこと、原告政明は不動産の賃貸を業とはしていないこと、以上のことが認められる。

そうすると、新たに賃貸する賃料として年間二〇万円は、本郷の土地の取得価格の半分の約三パーセントにしかならず、銀行定期預金金利に比しても著しく低廉であつて、この年額二〇万円の賃料が、同法施行令二五条の六第一項にいう相当な対価と認めることはできない。

そのうえ、取得土地を病院建設までの間に限り一時的に廃材置場として使用を許すことが同項の継続的な貸付と認めることはできない。そして、対価が低廉であること、原告政明が不動産貸付を業としていないこと、使用を許すのが一時的であること等からして、同原告が岸江広造にした一時使用のための貸付を目して、同原告の事業としてされたものと解することができないことは明らかである。

(エ) したがつて、原告政明が、その譲渡資産である本郷の土地を事業として、又は相当の対価を得て継続して、貸し付けていたものと認め難く、措置法三八条の六の適用があるとする同原告の主張はこの点で採用できない。

(3)  まとめ

原告政明の、措置法三八条の六の適用があるとする主張は、手続的にも実体的にも、その要件を欠いているから、この主張は採用できない。

(三)  信義則又は禁反言の原則に違反するとの主張について

税務署職員の誤指導を信頼して行動した納税者が、それによつて損害を被る結果になる等の理由により、課税処分が、信義則又は禁反言の原則上違法とされる場合があるかどうかは一つの法律問題であるが、これを本件のような課税減免規定の適用の問題に限定して検討する。

税務署職員に誤指導があつたとしても、納税者が課税減免規定の適用が受けられる実体的要件を具備していない場合には、納税者は、同規定の適用を否定する課税処分が信義則又は禁反言の原則に違反すると主張できないと解するのが相当である。その理由は、課税減免規定適用の実体的要件を欠く納税者には、元来同規定によつて保護されるべき法的利益がないし、そのような納税者に対して課税を減免することは、かえつて租税平等の原則に反することになるからである。

この視点に立つて本件をみると、先に判示したとおり、原告政明は措置法三八条の六の適用を受けるべき実体的要件を欠いているのであるから、同原告に対する本件処分が信義則又は禁反言の原則上違法とされる余地はない。したがつて、同原告の主張はこの点で理由がない。

(四)  見積承認、取得期間延長承認を取り消さないで本件処分をしたことについて

南税務署長がそのような承認を原告政明にしたことが認められないことは、前に説示した。したがつて、同原告のこの主張は、その前提を欠いているから採用できない。

(五)  分離課税か総合課税かについて

昭和四四年法律第一五号租税特別措置法の一部を改正する法律附則八条一項の規定に基づき、同項二号すなわち分離課税)を選択しようとする個人は、同条二項の規定によつて確定申告書にその旨を記載しなければならない。しかし、原告政明はその記載をしなかつたことを自認しているから、分離課税によることができないことは明らかである。

同原告は、同条二項は改正前の措置法三八条の六その他の同条一項一号所定の規定の適用がない場合には適用されないから、この場合は本則に帰つて右改正後の措置法三一条の適用を受けることとなると主張する。しかし、右改正法附則八条一、二項は、本来は昭和四五年一月一日以降の譲渡にしか適用のない右改正後の措置法三一条、三二条を、納税者の希望がある場合は昭和四四年中の譲渡にも適用しようとするものである。したがつて、右の希望がない場合は本則の規定に従うことになるわけであるが、本則の規定である右改正後の措置法三一条、三二条はその規定の本文中で「昭和四五年一月一日から昭和五〇年一二月三一日までの間に譲渡をした場合において」適用されるものであることを明らかにしている。そうすると、原告政明の本件譲渡について右改正後の規定の適用がないことは明らかである。したがつて、同原告の主張は採用できない。

四  原告光子の譲渡所得

(一)  原告光子が別表(三)(2)のとおりその所有の土地を譲渡したことは当事者間に争いがない。

(二)  措置法三八条の六の適用について

原告光子の場合、大県の土地の一部(別表(三)(2)Aの土地)を譲渡資産として、春次ビル敷地の一部(六九・一パーセントに相当する分)を買換資産として、措置法三八条の六の適用があることは被告も争つていないから、その余の点について判断する。

(1)  春次ビルの共有持分を、買換資産として措置法三八条の六の適用があるか

(ア) 期間内の取得という要件

原告光子が、昭和四六年九月六日、春次ビルの一〇〇分の一七の共有持分を取得し、そのころ事業の用に供したことは当事者間に争いがない。そこで、この共有持分の取得が、南税務署長の承認した取得期間内の取得であるかどうかが問題になる。

原告光子は、昭和四五年三月一三日及びそれ以降の口頭による申請又は昭和四七年三月三一日付嘆願書による申請に対して、同署長から口頭で春次ビル完成の日までを取得期間とする見積承認、取得期間延長承認を受けたと主張しているが、この事実を認めることができる的確な証拠がないことは、先に原告政明の主張に対し判示したところと同様であるので、これを援用する(三(二)(1)参照)。かえつて、<証拠略>によると、原告光子に対しては、南税務署長が昭和四五年四月二七日付で見積額三、二一〇万円、取得予定日を同年一一月二四日とする居住用及び事業用資産の買換えの特例の適用についての見積承認をした事実が認められるのである。したがつて、原告光子が春次ビルの共有持分を取得したのは、承認された取得期間の経過後であるから、措置法三八条の六の適用がないことは当然である。

(イ) 取得期間延長承認の実体的要件

原告光子は、春次ビルの共有持分の取得が当初の予定より遅延したことについて、措置法三八条の六第三項括弧書所定の「やむを得ない事情」があると主張しているが、この主張は次の理由で採用できない。

右の「やむを得ない事情」とは、同条二項、同法施行令二五条の六第五項の規定によると、「工場等の敷地の用に供するための宅地の造成並びに当該工場等の建設及び移転に要する期間が通常一年をこえると認められる事情がある場合」を指称する。ところで、これらの規定の趣旨は、買換資産の取得に要する期間が、それに要する工事の規模等客観的な理由で、一年をこえるやむをえない事情が認められる場合には、措置法三八条の六の課税減免の規定の適用を受けさせて、その工事の遅延を宥恕することにある。したがつて、工事遅延の理由が施主や工事請負人側の個人的事情等主観的な理由で一年をこえる場合を含まないと解するのが相当である。

<証拠略>によると、訴外矢島建設株式会社と原告光子とが春次ビルの工事請負契約を締結したのは昭和四五年一一月一二日、完成予定日は昭和四六年七月三一日であつたことが認められ、この認定に反する<証拠略>の結果は採用しないし、<証拠略>は、この認定の妨げにならない。

そうすると、原告らは、当初見積承認で認められた取得期間内に工事を完成すべく着工したが、客観的にやむを得ない事情によつて完成が遅延したわけではなく、むしろ、原告らの事前準備の不手際と、建設会社とのトラブルが重なつて完成が遅延したものといわなければならない。したがつて、原告光子の春次ビルの建築工事の遅延が前記の「やむを得ない事情」に該当しないことは明らかである。

(2)  春次ビル敷地全部を買換資産として、措置法三八条の六の適用があるか

原告光子は、買換資産である春次ビル敷地の全部をその事業の用に供していると主張するので検討する。

原告光子の取得した春次ビル敷地の面積が約一四三・一八平方メートルであることは当事者間に争いがなく、<証拠略>によると、原告らが右土地上に建築して取得した春次ビルの床面積は約一一一平方メートルであり、各階の床面積は別表(五)のとおりであること、春次ビルの利用が開始された当時原告らはその五、六階をその居住のために、その二階を原告政明の経営する診療所のために用い、その余の階は他に賃貸したこと、以上のことが認められる。もつとも、原告光子の本人尋問の結果中には、昭和五二年四月七日当時原告らは春次ビルのうち七階の一室と六階の一室だけを居住用に用いているだけであるとの供述部分があるが、この供述部分は、時点が異なるから前記認定の妨げになるものではないし、ほかに右認定に反する証拠はない。

ところで、本件のように取得した土地の大部分の上に建物を建設し、その建物の一部を事業の用に供している場合には、敷地の事業供用部分の割合は、建物の事業供用部分の面積割合と等しいものと解するのが相当である。

ところで、前記認定事実によると、春次ビルの事業供用部分の割合は六九・一パーセントであることは計算上明らかであるから、右敷地の事業供用部分の割合も同割合というべきである。

したがつて、春次ビル敷地の総取得費の六九・一パーセントに当る二、七二三万二、八〇八円についてだけ措置法三八条の六の適用を認め、譲渡収入からの控除を認めた本件処分は正当である。

(3)  譲渡資産の事業供用資産性について

原告光子は、譲渡資産である大県の土地の全部、円梅谷の土地を事業の用に供していたと主張するので検討する。

(ア) まず、大県の土地については、その三分の二(別表(三)Aの土地)が診療所敷地として事業の用に供されていたことは被告も認めているので、残り三分の一が問題になる。これについて原告光子は、大県の土地の地上に存在していた診療所勤務の医師、看護婦の宿舎用の建物をも含めて全体を事業の用に供していたと主張する。しかしながら、<証拠略>によると、診療所勤務の医師、看護婦の宿泊に用いられる部分をも含めて大県の土地上に存した建物の床面積は一三〇平方メートル以下であり、右土地のうち原告政明の診療業務の用に供されていたのはその三分の二に過ぎなかつたことが認められ、この認定に反する証拠はない。

そうすると、大県の土地の三分の二についてだけ、措置法三八条の六の譲渡資産であると認めた本件処分は正当である。

(イ) 次に、原告光子は、円梅谷の土地を訴外中山建設株式会社に賃貸していたと主張し、証人盛川啓一の証言や原告光子の本人尋問の結果中には、原告光子はその弟盛川啓一の世話で右土地を大阪市天王寺の中山建設株式会社に建設用資材置場として一時使用の目的で賃料二〇万円を受取つて昭和四四年ころまで賃貸し、賃貸について覚書を作成したとの各供述部分がある。

しかし、<証拠略>によると、中山建設株式会社という商号の会社が、昭和四〇年以降大阪市天王寺区、阿倍野区、生野区、東成区、西成区、南区で商業登記をした事実がないことが認められる。

そうすると、<証拠略>の結果には疑問があるし、作成したと主張する覚書や右のとおり収受した賃料を所得として記載した所得税確定申告書も提出されない以上、<証拠略>の結果だけで原告光子の右主張事実を認めることはできないし、ほかにこの主張事実を認めることができる証拠はない。

(4)  まとめ

原告光子の、大県の土地の全部及び円梅谷の土地を譲渡資産として、春次ビル敷地の全部及び春次ビルの共有持分を買換資産として、措置法三八条の六の適用があるとの主張は、春次ビルの共有持分について取得期間延長承認の手続を経ていないこと、またその承認を得るための実体的要件がないこと、春次ビル敷地の全部が事業供用資産ではないこと、譲渡資産の全部が事業供用資産ではないこと、のいずれにおいてもその要件を欠いていることに帰着するから、同原告の主張は採用できない。

(三)  措置法三八条の六を適用しないことは、信義則又は禁反言の原則に違反するとの主張について

この点に関する判断は、前記三(三)で原告政明の主張について判示したのと同様であるからこれを援用する。なお、原告光子の場合は、原告政明の場合と異なり、春次ビルの共有持分について適式な手続で取得期間延長承認を得ておけば、措置法三八条の六の適用を受けて控除される額が増加する可能性があつたわけであるが、取得期間延長承認を受けるための実体的要件を欠いていたことは既に判示したとおりであるから、結局、信義則又は禁反言の原則の適用を問題にする余地がないことに変わりはない。

(四)  被告が南税務署長のした見積承認、取得期間延長承認を取り消すことなく本件処分をしたことは違法であるとの主張について

この点に関する判断は、前記三(四)で原告政明の主張について判示したのと同様であるから、これを援用する。

(五)  本件処分は分離課税をすべきところを総合課税をしたことは違法であるとの主張について

この点に関する判断は、前記三(五)で原告政明の主張について判示したのと同様であるから、これを援用する。

五  むすび

以上の次第であるから、原告らの昭和四四年分の所得が別表(二)(1)(2)記載のとおりになることは計算上明らかで、これと一致する本件各処分は正当である。したがつて、原告らの請求はいずれも理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法七条、民訴法八九条、九二条に従い、主文のとおり判決する。

(裁判官 古崎慶長 井関正裕 西尾進)

別表(一)ないし(六) <略>

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